本作は、帝王マイルス・デイヴィスがクール・ジャズの礎を築いた歴史的名盤。ギル・エヴァンスら3人の編曲者に厳密で理知的な音楽を作り上げさせ、9人編成の大型コンボで演奏。ビ・バップと異なる音楽性を志向した作品。 (C)RS

amazon music : Birth of the Cool (1957) : クールの誕生

モダンジャズの基礎であるビバップを実践した、ジャズ史上の重要人物、チャーリー・パーカー。彼にアドリブプレイをたたき込まれたのが、若きマイルス・ディヴィスだ。有意義な経験ながら限界も感じたマイルスは、ある意味正反対な、編曲を重視したジャズを考える。それが結実したのが本盤だ。
ギル・エヴァンスやジェリー・マリガンら、有能なアレンジャーとの入念な打ち合わせの末、バリトン・サックスやフレンチ・ホルン、チューバを含む9重奏団の演奏を録音した。熱いアドリブ合戦に対抗して「クール」と称された本作は、関係者の間で大変な話題となった。商業的には振るわなかったものの、このサウンドは直後に盛りあがった50年代のウェストコースト・ジャズなど、のちのジャズ史に多大なる影響を及ぼした。
そんな理屈を知らなくとも、本作は十分に楽しめる。できの良し悪しに差が出る、一発勝負のジャズとは違うのだ。何度聴いても色あせない、すばらしいハーモニーとオーケストラサウンドだ。(高木宏真)

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ディスク:1
1. JERU
2. MOVE
3. GODCHILD
4. BUDO [HALLUCINATIONS]
5. VENUS DE MILO

6. ROUGE
7. BOPLICITY
8. ISRAEL
9. DECEPTION
10. ROCKER
11. MOONDREAMS
12. DARN THAT DREAM